- トムソン・ロイター
- 日本生命保険相互会社
「法令アラートセンター」は、あらかじめ設定した監視対象法令の改正を通知し、対応の要否・期限・進捗状況等を管理するリーガルソリューション。本稿では、「法令アラートセンター」を導入・活用する日本生命保険相互会社の法務部長・中澤正樹氏にお話をうかがいました。
日本生命保険法務部の特徴
──貴社法務部の構成を教えてください。
当社法務部は、経営法務チーム、グループ戦略法務チーム、契約法務チームの3チームで構成されています。経営法務チームでは、法務部門全体の企画や会議体の事務局、法務人材育成、新規事業にかかわるリーガルチェックなどを行っています。グループ戦略法務チームは、買収・出資案件、知的財産権、海外を含む本社グループ全体の法務管理などを担当しています。契約法務チームでは、保険契約にかかわる法務全般を扱っています。融資や不動産といった法務とかかわりの深い事業部門には、課長クラスの駐在者を専属で配置しています。保険契約法務のウェイトが最も大きく、総勢34名の法務部員のうち、約半数を契約法務チームに配置しています。
「法令アラートセンター」の活用法
──「法令アラートセンター」導入の経緯を教えてください。
「法令アラートセンター」の導入は8年ほど前になります。導入前は、法務部員が衆議院のウェブサイトを見るなどして改正法の情報を集め、そこから影響がありそうな法令をピックアップして各事業部門に展開していました。しかし、保険業法などの本業に近い分野であればまだしも、当社の事業領域にかかわるすべての法改正動向を網羅的・効率的に把握することは容易ではありません。非常に手間と時間がかかりますし、事業領域は年々拡大しているため、抜け漏れが生じる可能性もあります。会社として、法規制への抵触は絶対に避けなければなりませんので、「法令アラートセンター」を導入しました。
法令情報に関するメール通知の文面例
──「法令アラートセンター」の、どのような機能がおすすめですか。
1つ目は、「法令情報に関するメール通知」機能です。「法令アラートセンター」のシステム上で監視対象法令の設定を行うと、その法令の改正動向がメールでタイムリーに通知されます。このメールは、各事業部門の担当者に直接送信することもできます。メール本文には、法律を読み慣れていない人でもポイントを押さえることができるよう、改正法令の概要が非常にわかりやすく記載されているため、法務部員が事業部員用にまとめ直して情報提供をする必要もありません。
2つ目は、「成立法令や施行法令の一覧化」機能です。監視対象法令を施行日ベースで一覧化し、各事業部門と共有することができます。これにより、事業部門での実務見直しのスケジューリングや、法務部門での進捗確認と経営層へのレポーティングを効率的に行うことが可能となります。経営層からも、会社全体の法令遵守状況が可視化され、安心できると好評です。
成立法令や施行 法令の一覧化
──活用にあたり、工夫していることはありますか。
「法令アラートセンター」を利用するためには、監視対象法令のリストアップが必要となります。当社では、このリストアップ作業を法務部門と各事業部門が協働して行っており、各事業部門が毎年策定するコンプライアンスプログラムに監視対象法令の見直し・補充作業を組み込み、定期的にメンテナンスを行う態勢を整えています。
他 社へのメッセージ
──導入を検討している企業にメッセージをお願いします。
「法令アラートセンター」を活用すれば、法務部員の業務負担を減らしつつ、効率的に事業部門に情報提供を行うことができ、速やかに実務見直しの検討に着手することが可能となります。事業領域の広さに比べて人的資源に制約のある法務部門にはとても有益なツールだと思います。