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導入事例 HighQ | 株式会社スノーピーク

システム分散による非効率な運用を解消し、グローバル展開を見据えた法務基盤を構築


週15件の新規案件に対応する法務体制

──法務部門の体制と役割について教えてください。

山崎:現在、私たち法務部門は総務本部において6名体制で活動しています。私が法務、知的財産、そしてESG(環境・社会・ガバナンス)の3つのチームを統括。法務チームでは、取引基本契約、業務委託契約などの一般的な契約書審査や、キャンプ場運営に関する自治体との指定管理契約、ブランドライセンス契約など、多岐にわたる契約書の審査を行っています。

廣川:契約書のレビューについて、週に15件ほどの新規案件が入ってきます。1回のレビューで終わるわけではなく、その後のやり取りもあるため、常時30件程度の案件を抱えている状況です。また、契約書のレビューだけでなく、社内からの法務相談やコンプライアンス関連の対応、個人情報保護、各種許認可の確認など、様々な業務も担当しています。

システム分散による非効率な運用が課題に

──『HighQ』導入の背景について教えてください。

山崎:当社の法務部門は、2017年に私1人が総務課の担当者として入ったところから始まっています。その後、2020年に法務課として組織化され複数名での体制になりました。組織が拡大していくにつれてチームとしての管理体制の構築と、業務の仕組み化が必要であると次第に感じるようになっていったのです。

それまでは、複数のシステムを組み合わせて運用していました。案件受付は自社開発のフォーム、資料管理はSharePoint、案件管理はExcelというように、それぞれ別々のシステムで対応していたため業務プロセスに隙間が生じ、人力での補完が必要な状況でした。

廣川:契約書のレビューから押印、保管までの一連の流れのなかでシステム間の連携が課題でした。例えば契約書に押印する際、どのようなレビューをされてきたのかを確認するにはメールを遡ったり他のシステムを確認したりする必要があり、完全にシームレスには繋がっていなかったのです。

──具体的にどのような問題が起きていたのでしょうか。

山崎:最も懸念していたのは、案件の抜け漏れのリスクです。例えば、レビューを完了した契約書が実際に締結されるまでに、予想以上の時間がかかってしまうケースがありました。我々が「あの契約書はどうなった?」と確認して初めて、まだ締結に至っていないことが判明するようなことも。

また、海外拠点との連携にも課題がありました。現状では各拠点から個別に案件が上がってくる形で、時には重要な契約案件が本社に共有されないこともあります。グローバルな事業展開を進めるなかで、このようなリスク管理体制の強化は急務でした。

廣川:日々の業務において、必要な情報にアクセスする手間も大きな課題でした。例えば、過去の類似案件を参照する際保管場所が案件によって異なるため、探すだけでも相当な時間がかかってしまいます。また、複数の担当者が同じ案件に関わる際のナレッジ共有も、既存のシステムでは十分とは言えませんでした。

グローバル展開を見据えた機能要件を重視

──システム選定の際のポイントを教えてください。

山崎:2020年頃から様々なシステムを検討してきましたが、『HighQ』のように業務全体を一気通貫で管理できるシステムは見当たりませんでした。当時は、部分最適化されたシステムを組み合わせる形で運用していましたが、そこには常にリスクが伴います。


山崎 悠太 氏
山崎 悠太 氏

システム選定で特に重視したのは三つのポイントです。

一つ目は、カスタマイズ性の高さです。法務業務は定型的な部分もありますが、案件によって柔軟な対応が必要です。システムがその柔軟性を阻害することは避けたいと考えました。

二つ目は、ダッシュボード機能による可視化です。案件の進捗状況や全体の業務量をリアルタイムで把握できることは、マネジメントの観点から非常に重要でした。特に、年間の活動実績や主要な契約タイプの分析など、これまで手作業で行っていた集計作業の自動化に期待ができました。

三つ目は、グローバル対応の可能性です。将来的な海外拠点との連携を見据え、日本語と英語を併記できる機能は必須要件でした。また、セキュリティ面での信頼性も重要な判断材料となりました。

タスクの進捗管理

ワークショップで開発チームと密に連携

──導入プロセスについて教えてください。

廣川:2024年2月の契約後3月下旬にキックオフを行い、約7ヶ月をかけて導入を進めてきました。最初のステップとして、トムソン・ロイターから提供された「ガイド」という要件定義書をもとに、現状の業務フローや課題、必要な機能などを整理。A4で5、6ページに渡るガイドには、スコープの確認から具体的な作業内容、スケジュール、現状の業務フロー、課題感、必要な機能など、網羅的な質問項目が含まれていました。

その後、4月から5月にかけて計3回のワークショップを実施し、システムの詳細設計を進めていきました。各回2~3時間程度のワークショップでしたが、海外のエンジニアチームとの英語でのコミュニケーションがあったため、通訳を介して丁寧に進めました。6月以降は週1回30分程度の定例ミーティングと、Teamsのグループチャットを活用した日常的なやり取りを続け、10月に開発を終えることができました。

山崎:トムソン・ロイターの開発チームには、とても柔軟に対応していただきました。技術的な制約があるなかでも、私たちの要望に対して「このような方法ではどうか」という具体的な提案をいただき、まさに一緒にシステムを作り上げていくような形で進められました。時には議論が白熱して予定時間を大幅に超えることもありましたが、それだけ密度の濃い開発プロセスだったと感じています。

──実際の運用開始に向けて、どのような準備を進めていますか。

廣川:現在、社内リリースに向けて準備を進めています。マニュアルの作成や、既存システムからの移行準備など、社内展開に向けた作業を行っているところです。

ユーザーにとっては入力項目など基本的な操作は従来とほぼ変わりませんが、法務部門側では大きなメリットが得られると考えています。業務の効率化や最適化により、これまで以上にクオリティの高いフィードバックが可能になるはずです。

高いカスタマイズ性を活かし他部門展開も視野に

──『HighQ』のどのような機能が便利だと感じていますか。

山崎:ダッシュボード機能により、案件の進捗状況や全体の業務量をリアルタイムで可視化でき非常に便利です。契約書の種類別の件数や、部門別の依頼状況、処理時間の分析など、これまで手作業で集計していた業務実績も自動的に把握できるようになります。これにより、人員配置の最適化や、業務改善のポイント把握にも活用できると考えています。

廣川:法務部門内のコミュニケーションも大きく変わります。契約書のレビュー過程で私が担当者にフィードバックする際、以前はメールやTeamsのチャットを使っていましたが、現在は『HighQ』のチャット機能で完結できます。また、過去のやり取りも一元管理されているため、「前回のレビューではこう指摘した」といった経緯の確認も簡単になりました。

さらに、契約書の有効期限管理も自動化されます。例えば期限切れが近づいている契約について、自動的にリマインドメールが送信される機能も実装しています。これにより、更新漏れのリスクを低減できます。

ダッシュボード

リマインドメール

海外6 拠点との情報連携強化へ 体制を整備

──グローバル展開についての計画を教えてください。

山崎:海外6拠点との連携強化は重要な課題の一つです。現在は個別に案件が上がってくる形で、時には重要な案件が本社に共有されないこともあります。『HighQ』の導入によって、海外拠点の管理層とも情報共有が可能になったため、重要案件を本社でキャッチアップできる体制を整えていきたいと考えています。

システムの入力項目などは、既に日本語と英語を併記する形で準備を進めています。将来的には海外拠点からの依頼も受け付けられる体制を整え、グローバルなリスク管理の強化を図っていく予定です。

──今後の展望についてお聞かせください。

山崎:まずは法務部門での本格運用を通じて、業務の効率化とリスク管理の強化を進めていきます。その上で、知財部門など他のチームへの展開も検討しています。『HighQ』の柔軟なカスタマイズ性を活かし、各部門の特性に合わせたシステムを構築していきたく思います。

廣川:業務効率化により生まれた時間を、より価値の高い業務に割り当てていきたいです。フェイス・トゥ・フェイスでの相談対応や、部門間のコミュニケーション強化など、システム化だけでは実現できない部分にも注力していければと思います。


廣川 法之 氏
廣川 法之 氏

──最後に、システム導入を検討している企業へメッセージをお願いします。

山崎:システム導入に対して、過度に慎重になる必要はないと思います。まずは導入してみて、トライ・アンド・エラーを重ねながら、自社に合ったものを見つけていく姿勢が大切です。必ず業務は効率化されますし、その過程で得られる気付く点も大きいはずです。

廣川:確かに、新しいシステムの導入には苦労も伴いますが、その先にある効率化や品質向上というメリットは非常に大きいものです。特に、法務部門は書類量が多く重要情報を扱う部門だけに、クラウドベースでセキュアに管理できる環境を整備することは、テレワークなど新しい働き方への対応という面でも重要だと考えています。

Snowpeak

ぜひHighQをお試しください。