- トムソン・ロイター
- 【法令アラートセンター】テイ・エステック株式会社
部署単位で、関係する法令改正をアラート。『法令アラートセンター』は、法務課の業務改善に貢献。
──テイ・エス テック株式会社(以下テイ・エス テック社)は、主に四輪車用シート、四輪車用内 装品、二輪車用シート、二輪車用樹脂部品等の 製造販売を行っている大手自動車部品メー カーです。法務課の方に話を伺うと、ある問題 解決のために、2020年より『法令アラートセン ター』の導入をお決めになり、ご利用いただい ているとのこと。その経緯や理由、実際どのよ うにご活用いただいているかについて取材を 進めました。
煩雑を極めていた業務負担の軽減を実感
──法務課では、これまでどのような業務に携わられてきたかをお教えください。
法務課では、企業法務全般について取り扱っています。株主総会の運営から株式事務、契約書の作成支援・審査、社内規定の管理、機密管理、各部署への法令改正の通知、訴訟トラブルへの対応など多岐にわたります。これらの業務を少人数で対応・処理していかなければならず、課員一人ひとりの業務的負担をどのように軽減するかが課題となっていました。
──『法令アラートセンター』はどのような経緯で導入をお決めになったのでしょうか。
導入前、法令改正の通知に関する業務は特に煩雑を極めていました。弊社には営業部門や開発技術部門、生産部門、品質管理部門、さらに関連する子会社内の各部門など100を超える通知先があり、それぞれ業務に関連する法令も異なっています。当初法務課では、民法や道交法をはじめ、安全衛生法、会社法、消防法、輸出入関連法令など、150を超える法令を常にチェックし、内容を解釈し、噛み砕いて関係部署に通知を行っていました。この取り組みを開始して7年ほどが経過し、各部署での法令への理解が進んだことやコンプライアンス意識が醸成されたことを受け、これまでのように法務課で法令を咀嚼し配信するのではなく、各部署が自分たちで改正内容を確認し、判断できる、よりシンプルな配信方法を検討するようになりました。
通知メールのイメージ
最初は他社のサービスを導入したのですが、コストの問題で全社的な活用には至りませんでした。そうした悩みを普段から法務関係の相談に乗ってくれていたウエストロー・ジャパン担当者の方に打ち明けたところ、課題解決に有効なサービスとして『法令アラートセンター』をご紹介いただいたのです。このサービスを活用すれば、関連する法令が改正されると各部署へダイレクトに通知が届く仕組みが低コストで作れるため、法務課が一度とりまとめて配信するという業務負担が解消できると考え、2020年7月から利用を開始しました。
──『法令アラートセンター』をどのようにご活用いただいていますか。
各部署に法令改正をチェックする責任者を置き、関連する法令を各自登録してもらい、法令が改正されればその責任者へダイレクトにメールが届いてチェックできる体制を整えました。
『法令アラートセンター』は、改正後の法令をただ閲覧できるだけでなく、どの部分が改正されたかがマーキングされ、さらには法律に詳しくない人でも理解できるような解説がなされています。「法令といえば、難しい、ややこしいといった苦手意識があったが、これなら、素人でも扱いやすく、分かりやすいね」「法令に対する敷居がぐんと下がったような気がする」といった声が各部署から聞かれるようになりました。これにより、法令に対する関心が全社的に高まり、コンプライアンス意識がより一層高まることを期待しています。
活用するほどに見えてきた利点の数々
──ご活用いただく中で新たに気づいた魅力や利点は何かございますか。
1つ目は、業務や部署に関連する法令が確認しやすくなった点です。我々は法務課であるとはいえ、全員が専門的に法律を学んできた訳ではありません。大まかな関連法令は弁護士の方などに相談して把握していますが、例えばある部署が新規業務を手がけ、それにはどのような法令が関係するのか、といったことを把握するのは非常に難しく「何か取りこぼしがあるのではないか」という不安を常に抱いていました。それが、各部署がそれぞれ関連法令を登録できるようになったことで、漏れのないチェックが可能になったと考えています。
2つ目は、書棚を整理できたことです。『法令アラートセンター』導入前は、さまざまな法令集や関連する資料が書棚を埋め尽くし、他の資料を圧迫していました。導入後はインターネット上でアクセスし、必要な資料だけを出力できるようになったおかげで、他の資料の整理がしやすくなり、業務の効率アップに役立っている実感があります。
3つ目は、ウエストロー・ジャパンのオプションサービスで、法律系雑誌コンテンツをオンラインで閲覧できるようになった点です。時節柄、自宅で業務を行うことが多くなっているのですが、これまでは関連する法令集を持ち帰ったり、必要になれば会社まで電車を乗り継いで取りに行ったりしなければならず、不便さを感じていました。『法令アラートセンター』とともにこのオプションを採用してからは、そうした紙の資料もパソコン上でチェックできるので、従来のような不便さを感じることなくリモートワークがスムーズに行えるようになりました。
管理画面のイメージ
今回、『法令アラートセンター』を導入したことにより、こうした考えに変化が生じました。このサービスを通じて、法令がより身近になったことで、各自がより主体的に法令改正と向き合うようになりました。法務課に頼るのではなく、業務をよく知る者自身が考えることで、より効果的、効率的な対応案が生まれるとともに、各自のコンプライアンスへの意識が高まっていると感じています。
また、法務課としても配信業務の負担軽減のみならず、各部署の自立化により、想定以上の工数削減につながったことで、その他の業務をより深く、丁寧にこなすことが可能となり、とても助かっています。
──「今後このように活用を広げてみたい」といったご意見があればお聞かせください。
『法令アラートセンター』は、「守り」すなわち法的リスク回避のためのサービスと考えられがちですが、新たなビジネスチャンスをつかむ「攻め」の活用方法も考えられるのではないでしょうか。例えば、道交法が改正されたとすれば、その内容によって製品開発の方向性が変わったり、新たなビジネスチャンスが見えてくることもあると思います。法務課でそうしたチャンスに気づくことができなくても、『法令アラート』があれば各部署で気づき、対応することができます。今後、このような活用ができるよう、推進していきたいと考えています。