- トムソン・ロイター
- 懸念取引先照合サービス「ONESOURCE Denied Party Screening」導入事例
The Challenge
──潜在的なリスクを先読みして回避することも、大きな経営課題。従前の体制では対応できないレベルに。
日揮ホールディングス株式会社は、グローバルに事業を展開しており、1件当たり1兆円を超える大型液化天然ガス(LNG)のEPC案件を手掛ける日本有数のエンジニアリング企業です。国際的な舞台で活動する同社は、業態の特性上、国家の安全保障政策や地政学リスクの影響を受けやすく、現に最近のロシア制裁、米中摩擦等による制裁法や輸出規制による工事費用の追加やスケジュール延長など様々な影響を受けています。ビジネスの安定的継続には、こういった制裁法や輸出規制の動向を注視することが不可欠であり、世界情勢の動きをこれまで以上に早く、正確に把握できる体制の整備が課題となっています。 単に法令や規制だけでなく、各ステークホルダーの背景にある潜在的なリスクを先読みして回避することも、企業にとって大きな経営課題です。この課題の解決には高度かつ専門的な知識が必要で、従前の体制では対応できないレベルにまでなっているといいます。そこで同社では2023年、社内に新たに「経済安全保障・地政学リスクタスクフォース」を立ち上げ、地政学リスクをいち早く察知し、そのリスクがどのような影響を及ぼすかを分析して議論し、その結果をマネジメントに報告することによって、地政学リスクに起因するリスクを最小限に抑える取り組みを行っています。
The Solution
──システム導入で、貴重な専門人材をより本質的な業務に
新規ビジネスも次々に立ち上がっている上に、貿易・輸出管理リスク増加を背景に業務量自体が大幅に増えているため、情報の分析もさることながら、正確な情報を迅速に集めることは容易ではありません。また、人材不足が加速化する中、輸出管理の専門人材は世界的に見て希少であり、簡単に増強できないという課題もあります。 そういった課題点をカバーすべく、テクノロジーの活用によって業務を効率化し、情報不足や見落としによるコンプライアンス違反のリスクに備える必要があります。
同社は、審査業務の大幅な効率化を図るべく、トムソン・ロイターの懸念取引先照合サービス「ONESOURCE DENIED PARTY SCREENING」を導入しました。これまで属人的な作業で行ってきた審査をシステムで自動化することによって、見落としや確認漏れのリスクを軽減することを目指しており、これまで審査に費やしてきた人材の時間と労力をより本質的な業務に活用することによって体制を整備、より大きな経営上のリスクの把握・回避に、貴重な人的リソースを活用していくといいます。
トムソン・ロイターはすでにグローバル市場での実績があり、この領域での知見やノウハウも蓄積されていると思いますので、ぜひ可能な範囲で供していただくなど、当社の貿易コンプライアンス強化のパートナーとしてシステム+αのサポートを期待しています。
──採用の決め手は「使いやすさ」。他部署の社員にも使いやすい直感的なインターフェイス
貿易は本来、自由に行われるべきものですが、近年では国際平和維持の観点からさまざまな規制や制裁措置が設けられています。日揮ホールディングスおよびグループ内の輸出管理、すなわち安全保障管理に関わる業務を行う輸出管理チームでは、自社およびグループの貿易がそれらの規制や制裁措置に抵触していないかどうかをチェックして見極め、リスクを避けることが求められます。チェックは輸出規制や制裁措置についてのリストと自社の取引先や顧客のリストを照らし合わせてスクリーニングする作業が必要ですが、毎日これを手作業で行うには大変な手間と時間がかかります。同社では以前からシステムを活用して業務の効率化を図り、何度かシステムを入れ替えてみたものの、「情報量が多すぎる」、「使い勝手が悪い」、「アカウント数に制限がある」などの問題点があったため、より相性の良いシステムを求めて情報収集を進めていました。その時、ネット検索でトムソン・ロイターの「ONESOURCE Denied Party Screening」を発見。同社ガバナンス統括オフィス 法務・ガバナンスユニット 輸出管理チームアシスタントマネージャーの松村香里氏は、「グローバルで知名度の高いトムソン・ロイターが提供するシステムということで興味を持ち、トムソン・ロイター主催の安全保障貿易管理のセミナーに参加。当ソリューションの機能や特徴について詳しく説明を受け、既存システムでの課題をほぼクリアできると確証が持てたため、採用を決めた」と語っています。
同社では営業や調達など他部署の社員もスクリーニング結果を見ることが多いため、複雑な操作をしなくてもすぐにスクリーニングの結果が一目で把握できる点は非常に魅力的で、またインターフェイスのデザインも非常にわかりやすく、直感的に操作できる点も導入に至った判断基準になったといいます。情報量が多すぎず、内容も専門的すぎない点は、輸出管理の専門知識がない方にも抵抗感なく使い始めやすく、複数部署にてスムーズに日常業務に活用されています。
──アカウント数無制限、既存システムとの連携も可能。将来的にはグローバル展開も視野に
追加料金なしで関係者全員がアカウントを持つことができる点は効率化をさらにサポートします。海外の拠点で外国人人材がスクリーニングを行うことを考えると、表示が日本語と英語の両方に切り替えができる点も、「ONESOURCE Denied Party Screening」の強みの一つです。同社においては、今はまだ単独のシステムとして使っているものの、グループ内のシステムと連携してグローバルに活用することも検討されています。
「グローバルで活用する場合はなおさら、トムソン・ロイターのブランド認知度の高さは大きなアドバンテージ」。お客さまとの打ち合わせの際に「どこのスクリーニングシステムを使っているのか?」と聞かれ、「トムソン・ロイターのシステムです」と答えたところ、「それなら安心だね」と言っていただくことができたといいます。輸出管理の分野ではスクリーニングリストの正確性や鮮度が大きなリスクの原因を引き起こしかねないため、システム自体の信用度も重要視されており、グローバル市場で定評のあるトムソン・ロイターのシステムを使っていることがお客さまの安心材料となり、「結果として同社への信頼にも繋がった」といいます。
ONESOURCE Denied Party Screeningは、210以上の国や地域の輸出入制度情報を網羅しているだけでなく、190名以上の専門スタッフが365日体制で制度のモニタリングを実施しており、常に最新の規制や制度変更に対応して、お客さまのビジネス上のリスクを最小限に抑えます。
ONESOURCE DENIED PARTY SCREENINGの機能や特徴について詳しく説明を受け、既存システムでの課題をほぼクリアできると確証が持てたため、採用を決めました。
──さらなるコンプライアンス強化が持続可能な経営のカギに
取引先やお客さまだけでなく投資家や金融機関からの貿易コンプライアンスへの関心は、ここ数年、ますます高くなっているといいます。同社の輸出管理チームの目標は、どんな問い合わせや要請にも迅速かつ的確に対応できる体制を整え、当社グループやステークホルダーをコンプライアンス違反のリスクから守ること、そして持続可能な経営に貢献することだといいます。同社ガバナンス統括オフィス 法務・ガバナンスユニット 輸出管理チームマネージャー 笹山孝夫氏は、「そのためにも、引き続きトムソン・ロイターのシステムを活用して精度の高い自動スクリーニングを行うとともに、自動化により確保した時間を活かしてリスクベースアプローチに基づいた新たな施策に取り組み、コンプライアンス基盤の更なる強化に努めていきたい」と述べ、「顧客や取引先に対して、より高い信頼性と透明性を提供していきます。」と、トムソン・ロイターの「ONESOURCE Denied Party Screening」を活用した、貿易コンプライアンスリスクを軽減し実現する持続可能なビジネスの展望をお話くださいました。
トムソン・ロイターのシステムを活用して精度の高い自動スクリーニングを行うとともに、自動化により確保した時間を活かしてリスクベースアプローチに基づいた新たな施策に取り組み、コンプライアンス基盤の更なる強化に努めていきたい。