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【Legal Tracker】

丸紅株式会社

「最小のコストで最大の効果」を目標に全社最適化を推進

「最小のコストで最大の効果」を目標に全社最適化を推進 業務もゼロから見直しLegal Tracker の活用で効率化


業務効率化を推進するため企画・開発課を設置

──御社法務部門の役割と、部門としての業務方針について教えてください。

有泉 総合商社の法務部として、会社が行う取引 全般にかかる法務業務、具体的には契約書の作成 やチェックを行うとともに、会社業務から派生する 法律問題への対応を行っています。また訴訟の際に は弁護士とともに案件を管理・解決しており、コー ポレート・ガバナンスやグループ・ガバナンスに関す る業務、株主総会などの事務局業務も担当してい ます。これらのうち中心となっているのは取引関係 の法務であり、これに対して5つの法務課で対応し ています。

私は2015 年に法務部長に就任したのですが、そ の時に目指したのが「最小のコストで最大の効果を 挙げる」ことでした。まず、当社は海外における事 業が収益の大部分を占めているので、海外拠点に おける法務機能を強化すると共に、当部と密に連 携する体制を整えてきました。また訴訟に関しても、 客観的な指標をもとに管理することを目指しまし た。さらにグループ全体のリーガルリスクマネジメン トについても、企業価値を守るパートナー・ガーディ アンとしての機能を発揮していきたいと考えました。

このような広い守備領域を守るには、業務をゼロから見直し効率化していく必要があります。これに関して従来は総務企画課が担ってきましたが、2019年4月に新しく専任の企画・開発課を設置しました。

──企画・開発課の具体的な業務内容と人員構成は?

河野 大きく4つの業務があります。第1 は法務に 関する諸施策の企画・立案。第2 は法務分野にお けるIT 戦略策定・促進に関する業務。第3 は弁護 士費用管理システム全般・運営に関する業務。そし て第4 が法務関連の人財育成・研修に関する業務 です。このうちLegal Tracker の適用領域は、第3の 業務に該当します。

2020年4月現在のメンバーは、課長1 名、専任の 総合職1 名、企画・開発課を主務とし法務部内の他 課を兼務とする総合職1 名、法務部内の他課を主務 とし企画・開発課を兼務とする総合職1 名、専任の 一般職1 名の計5 名。そのうち3 名はニューヨーク 州弁護士です。

4つの目標を掲げてLegal Trackerの導入へ

──Legal Tracker 導入の背景と 目的について教えてください。

河野 丸紅では2016 年7 月に、弁護士費用の請求 書につき法務部が全件支払前に確認する、という社 内ルールを設けました。以前は弁護士の起用や費 用管理は各営業部が行っており、法務部ですべてを 把握していたわけではなかったのです。しかし全社 レベルでの最適化を実現するには、案件単位での 最適調達ではなく、当社の基準を理解した上で対応 できる法律事務所を起用し、その費用もすべて法務 部で把握すべきだと考えました。

このルールによって弁護士費用の支払状況に関する情報が、全て法務部に集約されるようになりました。その一方で、全世界の法律事務所から日々紙で送付される請求書の処理、請求書に記載されている情報のデータベースへの転記や、その集計・分析作業に多くの時間と労力がかかるようになりました。法務部がハンドリングする請求書の数は年間千件以上に上り、フォーマットや内容もさまざまです。この作業をいかにして効率化するかが、大きな課題になっていました。

萬 そこで以下の4つの目標を掲げ、Legal Trackerの導入を行うことにしました。

①法律事務所からの請求書処理業務の効率化
法律事務所より送付される請求書のフォーマット・記載項目を統一化すると共に、法律事務所が直接入力したデータをワークフローで確認できるようにすることで、データ再入力等の時間を削減する。

②弁護士費用の管理強化
請求書に含まれる情報の確認・異例な請求項目 へのアラートをLegal Tracker で行うことで、業務と 費用の妥当性確認の負担を軽減する。またLegal Tracker 内に蓄積されたデータに基づく弁護士費用 のベンチマークと比較することで、より効率的で妥 当な費用設定を見いだせるようにする。

③タイムリーで容易な弁護士費用の集計及び分析
当社単体分の弁護士費用については全てLegal Trackerの対象とし、Legal Trackerによる費用集計・ 分析を実施する。これによって毎年度末に実施している社内・当社グループ内の調査の負担を軽減し、いつでも必要なタイミングで費用を把握できるようにする。

④紙削減
法律事務所より紙で受領していた請求書を、 Legal Tracker で電子化する。これにより紙の請求 書原本につきまとっていた送付時のタイムロスと、 紛失リスクを低減する。

法律事務所別費用
法律事務所別費用

実際のデータではなく、イメージです。

米国での利用率や認知度の高さも評価

──Legal Tracker 採用の決め手は何でしたか。

萬: 先程掲げた4つの目標を実現できる機能が備 わっており、弁護士費用請求書にかかる業務の改 善が期待できることです。これに加え、リーガルオペ レーションズの先進国である米国での利用率が高 いことや、他の競合するe-billing システムと比較し て市場シェアが大きいことも重視しました。シェア が大きければ、法律事務所からも受け入れてもらい やすくなります。特に海外法律務所における認知度 が高いことは、当社にとって大きなメリットでした。

──導入プロセスについて教えてください。

河野: 米国での状況を調査した時にLegal Tracker の存在を知ったのですが、当初は日本では利用でき ないと考えていました。しかしその後日本でもユー ザーがいることを知り、2017 年9月にトムソン・ロイ ターの日本法人にコンタクトを取り、デモや情報提 供を受けた上で、2017 年12 月からサンドボックスで のテストを進めていきました。その結果を踏まえて、 2018 年6 月には社内決裁を取得して導入を決定。 2018 年7 月にはトムソン・ロイターのカスタマーサ クセス担当者に参画していただき、システム構築を 進めていきました。

この担当者は非常に優秀な方で、他のLegal Tracker ユーザーからも推薦されたため、こちらか ら指名させていただきました。その後、この担当者 と萬、私の3 人で週2 回のWeb 会議を行いながら、 導入計画書に従って、システムを設定の上、所定の テンプレートを活用し、ドキュメントの整備や社内ト レーニングを進めていきました。

萬: 2018 年11 月にはシステムの準備が完了、取引 先の法律事務所に対して正式に移行を通知し、対 応できるところから順次、Legal Tracker へと移行し ていただきました。しばらくは紙の請求書と併存す る形となりましたが、2019 年4 月には6 割以上が Legal Tracker へと移行し、2019 年11 月にはほぼ 100%のe-billing 化を完了しています。

test
案件別費用

実際のデータではなく、イメージです。

法律事務所からの請求書処理業務が大幅に効率化

──導入効果は?

萬: まず請求書処理業務が大幅に効率化されま した。以前は紙で受け取った請求書をMicrosoft Access に入力した上で、弁護士起用部署に請求書 を紙で回付し、弁護士起用部署で支払いを行ってい たのですが、このような紙のハンドリングとデータ入 力に年間約400 時間程度を費やしていました。そ れがLegal Tracker によってゼロになっています。も ちろんLegal Tracker 上での案件作成やシステム設 定の時間は別途必要ですが、これを考慮しても業務 効率は倍以上に向上していると感じています。もち ろん紙も削減されています。

河野 弁護士費用の集計や分析を、タイムリーに 行うことも可能になりました。概ね月初2 ~ 3 営 業日以内には前月分の集計が完了しており、弁護 士費用は月次で役員や海外の法務部員にも共有 できるようになっています。事務所毎の起用実績 や累積支払額についても、必要な時にすぐ出力で きます。弁護士費用の管理強化に関しても、すでに Timekeeper Rate とExpense Audit をアクティベー トしています。

Timekeeper Rate の値上がりに対するAudit チェック

実際のデータではなく、イメージです。

今後もIT 活用を軸に業務効率化を推進

──最後に、今後の取り組みについて教えてください。

萬: e-Billing がほぼ100%になったので、今後はこ こに集められたデータの活用を積極化していきます。 またコスト削減のプレッシャーもあるので、Legal Tracker のベンチマーキング機能を活用し、より効 率的で妥当性の高いものになるよう、費用設定も 見直していく必要があると考えています。

河野: Legal Tracker に蓄積されたデータは、法律 事務所と対話・交渉する際の、共通言語としても 活用できるはずです。同じデータを見ながら過去1 年間のプロジェクトについてのパフォーマンスをレ ビューし、次に何ができるのかを一緒に話し合う。こ のようなことができれば、法律事務所との関係をよ り強化できるのではないかと期待しています。その 一方で、社内オペレーションの整理と改善、会計・ 支払システムとのつなぎ込みなども、今後の検討 課題です。

有泉: これまでの法務部の業務は、マンパワーによ る対応が基本でした。しかしIT を活用した効率化を 進めていくことで、人はより重要な判断業務に専念 できます。また業務遂行に紙が必要なくなれば、テ レワークにも対応しやすくなります。

実際に今回のコロナ禍への対応でも、Legal Tracker を導入していたため、出社しなくても問題な く業務を遂行できました。今後はこのようなデジタ ルトランスフォーメーションが、新たな法律問題を生 む可能性もありますが、当社はIT を活用した業務 効率化を基本方針としながら、このような新たな問 題にもキャッチアップしていきたいと考えています。

ぜひLegal Trackerをお試しください。